俳優が身近な小さな幸せを大事にする気分になるコロナの中

母を介護施設に預けた。本当は母と一緒にいる選択をするべきだったのかと今になっても悩んでいる。家から朗読の配信を毎週していこうと思ってる矢先に劇場でミュージカルに出ることになった。身近な小さな幸せを選択したい気持ちと現実のはざまでやるせない気分。自粛と活動、身近な幸せと社会的成功、みなさんどう折り合いをつけてますか?

50になると今までの人生がひとつにまとまるという。ミュージカルは30代のダンス、40代のシャンソンが、10代から長く続けた演技にまとまったということだろうか。

2014年からひとりで朗読ライヴをはじめた。

そのきっかけは周りの方々からいただいた気がする。

2010年夏に夫が亡くなった時、

多くの方に声をかけていただいた。
なぐさめの言葉とともに、実は私もねと、辛かったこと、家族のことを話してくださる方が多かった。みんな元気に幸せそうに生きてるけど、実はいろいろ抱えているんだなと感じた。そのころテレビは騒がしく説明過多に感じ、もっとゆったりと脳がうごいてほっこりできる作品があれば、しんどい時に涙で浄化され、次の日から少し柔らかい気持ちで生きられるのではないか、それが自分にできることではないかと思った。最近知ったのだが、そういうの涙活(るいかつ)というらしい。

シャンソンを歌い始めたのは40才くらいから。シャンソンも人の気持ちや人生、自然に寄り添う歌詞が実は多い。そして朗読作品を探している中でシャンソンの歌詞に近いテーマで日本の詩が書かれていると気づき、組み合わせてみることにした。20代インテリアコーディネーターをしていたからか上演する空間演出もする。毎回ご一緒してくださるギターの関根彰良さん、東大文学部卒だからか、ミュージシャンだが文章読解力がすごい。そして、テーマに沿った花を活けてくれる草月流華道家森田麗游さん、私の文学座同期でもあり、凛としたたたずまいでパフォーマンスしてくれる。

それで詩音花(しおんか)プロデュースというグループ名をつけた。

俳優としてのポリシーは俳優の演技が作品の中に埋没することで、ストーリーで新鮮な感動を届けること。

吉田昌美ホームページ https://masami-yoshida.com/

母の感謝状

敬老の日にデイサービスの方が母に感謝状とプレゼントをくださった。

2、3日した頃、母が「読んでください」という。読むのは得意なので、感謝状っぽく読んであげたら、途中で「いぇいえーい!」とガッツポーズ。いまだかつてそんな母を見たことがなくてびっくり‼️よっぽど嬉しかったんだろうな〜。自営業の妻は褒められる事も表彰されることもなかったのかもなぁ。

13時間歩き続けて高田馬場から田無まで歩いちゃって、次の日全然へっちゃらだった時も、人間疲れたもうダメと思うのは脳が思っちゃうだけで、覚えてなきゃ大丈夫なのかと思ったけど、今回のガッツポーズも自分はこんな人って思い込みがなくなると湧き出てくる。ずっと嫌いだったコーヒーもチョコも今は大好きで、コーヒーは毎日飲んでいる。

ボケから学ぶこと多い。

コロナで新規入所者面接ができないらしく、80人待ちだった特養が、いつもショートステイを利用してる母のところに回ってきた。急なことで家族も動揺したが、預けるにあたり、家族の写真とこの感謝状を持たせた。

コロナで面会が無しなのだ。忘れちゃう前に会いたい。